訪問入浴介護の法定研修一覧|義務なのはどれ?認知症介護基礎研修は対象?(2026年版)
更新日:2026-09-24・約6分で読めます
訪問入浴介護で義務となる法定研修を、頻度・記録・減算まで一気に整理します。訪問系の中でも、認知症介護基礎研修の受講義務は訪問入浴介護だけが「対象」になる点を含め、取り違えやすいポイントを一次資料の裏取り範囲でまとめました。
まず結論:訪問入浴介護は「訪問系」だが、認知症介護基礎研修は対象になる
訪問入浴介護は、義務研修の区分では訪問介護・訪問看護と同じ「訪問系」に入ります。施設系・居住系に比べて「委員会」や「研修年2回」が求められる分野が少ない一方、義務そのものがなくなるわけではありません。
押さえるべきは、①高齢者虐待防止②身体的拘束等(記録のみ)③感染症対策④業務継続計画(BCP)⑤ハラスメント対策⑥認知症介護基礎研修の6分野と、事故発生時の対応記録です。訪問系のなかで、⑥認知症介護基礎研修の受講義務が「対象」になるのは訪問入浴介護だけです。
義務研修と頻度の一覧(訪問入浴介護)
高齢者虐待防止・感染症対策・業務継続計画(BCP)は、令和6年(2024年)4月1日から完全義務化されています(経過措置は終了済み)。身体的拘束の「記録」義務は令和6年度改定で新設されたものです。ハラスメント対策は分野ごとに根拠法令が異なり、パワハラ・セクハラは労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法上の措置義務、カスタマーハラスメントは2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法上の措置義務です。
- 高齢者虐待防止:義務。研修は年1回以上+新規採用時。未実施は所定単位数の1%減算。
- 身体的拘束等の適正化:委員会・指針・研修までは義務ではなく、「原則禁止+記録」が義務(令和6年度改定)。拘束を行った場合は態様・時間・理由等の記録が必須。
- 感染症対策:義務(委員会・指針・研修・訓練)。委員会はおおむね6か月に1回以上、研修・訓練は年1回以上。新規採用時研修は「望ましい」とされ必須ではありません。研修未実施そのものへの減算はなし。
- 業務継続計画(BCP):感染症・災害の両方が義務。研修・訓練は各年1回以上。未策定減算は所定単位数の1%で、訪問系は令和7年3月31日まで無条件の経過措置があり、現在は適用済み。
- ハラスメント対策:パワハラ・セクハラは事業主の措置義務(研修は履行手段の一つ)。カスタマーハラスメントは、2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法で措置義務。
- 認知症介護基礎研修:無資格で介護に直接携わる職員に受講義務(外部eラーニング等・受講1回)。訪問入浴介護は対象です。
訪問系で唯一の例外:認知症介護基礎研修は「訪問入浴介護なら対象」
認知症介護基礎研修は、無資格で介護に直接携わる職員に受講を義務づける研修です。訪問系のサービスは原則として対象外ですが、訪問入浴介護だけは対象外に含まれません。訪問介護・訪問看護向けの資料を流用して「訪問系だから不要」と判断すると、受講の抜けにつながります。
対象になる場合でも、介護福祉士・実務者研修修了者・初任者研修修了者・看護師・准看護師・介護支援専門員・社会福祉士・医師・PT/OT/STなどの資格を持つ職員は免除されます。受講は1回(更新の定めなし)で、新規採用の無資格者には採用後1年間の猶予があります。経過措置は令和6年3月31日で終了しており、完全義務化されています。
訪問入浴介護ならではの対象・対象外整理(施設向けの資料との違いに注意)
訪問入浴介護には「施設では義務だが訪問系は対象外」という分野が複数あります。必要のない体制整備に手を広げすぎないための整理です。
- 事故防止(安全管理)の委員会・指針・研修・安全対策担当者:義務は「介護保険施設」のみで、訪問系は対象外です。ただし、事故が起きたときの対応・記録・市町村や家族への報告・損害賠償は訪問系を含む全サービス共通の義務です。
- 身体拘束の委員会・指針:訪問系は「記録」までが義務で、委員会の設置・指針の整備・研修の実施は求められていません(施設系・居住系・短期入所系・多機能系との違い)。
訪問入浴でも共通で必要な分野(頻度の法定なし)
倫理・法令遵守(運営基準の研修機会確保義務)、個人情報・プライバシー保護(秘密保持・安全管理措置の実効性を担保する手段としての研修)は、訪問系を含む全サービス共通で必要です。回数の法定はありませんが、計画的な実施が求められます。
記録に残すこと(訪問入浴介護)
訪問入浴介護は施設系より義務の範囲が狭い分、「本当にやるべきこと」が漏れやすい面があります。研修の実施記録には日時・参加者・内容を残し、出席簿とあわせて保管します。身体拘束を行った場合はその態様・理由の記録を、感染症・BCPは委員会(該当する場合)の記録とあわせて保管します。認知症介護基礎研修は、対象職員を一覧にして受講の有無を確認できるようにしておくと、入職時期の異なる職員の受講漏れを防ぎやすくなります。
訪問入浴チーム向けの段取りの工夫(法令とは別の実務)
以下は法令に基づく内容ではなく、続けやすくするための実務上の工夫の一例です。事業所ごとに事情が違うため、合うものだけ取り入れてください。
- 複数人のチームで訪問する事業所では、全員が同じ日に事務所へ集まるのが難しいことがあります。回を分けて開くか、欠席した職員に資料と確認テストで後から補うかを、年間計画を作る段階で決めておくと運営しやすくなります。研修の実施として何を数えるかは、自事業所の指針や指定権者の案内で確認してください。
- 感染症の研修は、訪問先での標準予防策や手指衛生など、日常業務に近い場面を題材にすると、職員が自分ごととして考えやすくなります。
- 認知症介護基礎研修の対象者(無資格の職員)は、入職時に一覧へ登録しておくと、採用後1年間の猶予の管理がしやすくなります。
- 実施記録の書式を年度ごとに変えず揃えておくと、前年の記録と照らし合わせやすくなります。
感染症とBCPをまとめて回す(訪問入浴介護)
感染症BCPの研修・訓練は、感染症対策の研修・訓練と一体で実施できます。
- 感染症の研修・訓練は年1回以上、BCPの研修・訓練も各年1回以上ですので、同じ機会にまとめると年間の回数を整理しやすくなります。
- まとめて行った回は、感染症対策とBCPの両方の記録として使えるよう、記録欄に一体で実施した旨を書き添えておくと整理しやすくなります。
訪問入浴介護で不要な体制整備——施設向けのひな形を流用しない
訪問入浴介護では、身体拘束等適正化検討委員会(3か月に1回以上)や、事故発生防止検討委員会・安全対策担当者の配置など、施設系で求められる体制を新たに用意する必要はありません。施設向けの解説記事や汎用のひな形をそのまま流用すると、対象外のはずの委員会規程や会議体まで作ってしまい、限られた人員をさらに圧迫することになりかねません。
訪問入浴介護向けの無料キットと年間計画表
虐待防止・感染症対策・BCP・ハラスメントの各研修キットには、レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿がそろい、認知症介護基礎研修には受講案内と受講記録様式があります。サービス類型で「訪問系」を選べば、訪問系に必要な研修だけを絞り込んだ一覧と年間計画表が画面で作れます。入力した内容の保存先はお使いの端末の中だけで、外部には送られません。
報酬や法令の内容は見直されることがあります(本記事は2026年9月時点)。実際の適用は、指定権者(都道府県・市区町村等)に照会してください。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、提供者は責任を負いかねます。