訪問看護(訪問看護ステーション)の法定研修一覧|義務なのはどれ?年何回?(2026年版)
更新日:2026-09-23・約6分で読めます
訪問看護ステーションで義務となる法定研修を、頻度・記録・減算まで一気に整理します。訪問系の中でもBCP未策定減算の適用開始日が他と異なる点など、取り違えやすいポイントを一次資料の裏取り範囲でまとめました。
まず結論:訪問看護は「訪問系」。義務なのは5分野+事故対応の記録
訪問看護ステーションは、義務研修の区分では訪問介護と同じ「訪問系」に入ります。施設系に比べて「委員会」や「研修年2回」が求められる分野が少ない一方、義務そのものがなくなるわけではありません。
押さえるべきは、①高齢者虐待防止②身体的拘束等(記録のみ)③感染症対策④業務継続計画(BCP)⑤ハラスメント対策の5分野と、事故発生時の対応記録です。訪問看護は医療保険の訪問看護と介護保険の訪問看護の両方を提供する事業所が多いですが、本記事は介護保険の指定基準にもとづく整理です。
義務研修と頻度の一覧(訪問看護)
高齢者虐待防止・感染症対策・業務継続計画(BCP)は、令和6年(2024年)4月1日から完全義務化されています(経過措置は終了済み)。身体的拘束の「記録」義務は令和6年度改定で新設されたものです。ハラスメント対策は分野ごとに根拠法令が異なり、パワハラ・セクハラは労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法上の措置義務、カスタマーハラスメントは2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法上の措置義務です。
- 高齢者虐待防止:義務。研修は年1回以上+新規採用時。未実施は所定単位数の1%減算。
- 身体的拘束等の適正化:委員会・指針・研修までは義務ではなく、「原則禁止+記録」が義務(令和6年度改定)。拘束を行った場合は態様・時間・理由等の記録が必須。
- 感染症対策:義務(委員会・指針・研修・訓練)。委員会はおおむね6か月に1回以上、研修・訓練は年1回以上。新規採用時研修は「望ましい」とされ必須ではありません。研修未実施そのものへの減算はなし。
- 業務継続計画(BCP):感染症・災害の両方が義務。研修・訓練は各年1回以上。未策定減算は所定単位数の1%で、訪問看護は令和6年6月1日から適用されています(同じ訪問系の訪問介護・訪問入浴介護は令和6年4月1日で、訪問看護・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション等はこれより2か月遅い適用日です)。
- ハラスメント対策:パワハラ・セクハラは事業主の措置義務(研修は履行手段の一つ)。カスタマーハラスメントは、2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法で措置義務。
BCP減算の適用日は「令和6年6月1日」——訪問介護・訪問入浴介護との違い
訪問系の中でも、業務継続計画未策定減算の適用開始日は一律ではありません。訪問介護・訪問入浴介護は令和6年4月1日から適用されていますが、訪問看護は令和6年6月1日からで、2か月遅れています(通所リハビリテーション等も同様に6月1日です)。
適用日が2か月違うだけで、未策定減算の「率」や、研修・訓練の頻度(各年1回以上)そのものは他の訪問系と変わりません。適用日の違いだけを取り違えないよう注意してください。
訪問看護ならではの対象・対象外整理(訪問・通所系との違いに注意)
訪問看護には「施設では義務だが訪問系は対象外」という分野が複数あります。必要のない体制整備に手を広げすぎないための整理です。
- 認知症介護基礎研修:無資格で介護に直接携わる職員への受講義務ですが、訪問系(訪問入浴介護を除く)は対象外です。訪問看護のみを行う事業所であれば、この受講義務はかかりません。
- 事故防止(安全管理)の委員会・指針・研修・安全対策担当者:義務は「介護保険施設」のみで、訪問系は対象外です。ただし、事故が起きたときの対応・記録・市町村や家族への報告・損害賠償は訪問系を含む全サービス共通の義務です。
- 身体拘束の委員会・指針:訪問系は「記録」までが義務で、委員会の設置・指針の整備・研修の実施は求められていません(施設系・居住系・短期入所系・多機能系との違い)。
訪問看護でも共通で必要な分野(頻度の法定なし)
倫理・法令遵守(運営基準の研修機会確保義務)、個人情報・プライバシー保護(秘密保持・安全管理措置の実効性を担保する手段としての研修)は、訪問系を含む全サービス共通で必要です。回数の法定はありませんが、計画的な実施が求められます。
記録に残すこと(訪問看護)
訪問看護は施設系より義務の範囲が狭い分、「本当にやるべきこと」が漏れやすい面があります。実施した研修は日時・参加者・内容を実施記録・出席簿に残し、身体拘束を行った場合はその態様・理由の記録を、感染症・BCPは委員会(該当する場合)の記録とあわせて保管します。運営指導では、この記録の有無が確認されます。
訪問看護ステーション向けの段取りの工夫(法令とは別の実務)
ここからは法令とは別の、現場で続けやすくするための段取り例です。事業所の規模や体制によって向き不向きがあるため、取り入れられるものだけ選んでください。
- 訪問先への直行直帰が多い職員が多い事業所では、時間帯を分けて複数回開くか、欠席した職員に資料と確認テストで後日フォローするかを、年間の予定を組む時点で決めておくと運営しやすくなります。何を研修の実施と数えるかは、自事業所の指針や指定権者の案内でご確認ください。
- 感染症の研修は、訪問先での標準予防策や訪問バッグの取り扱いなど、日常業務に近い場面を題材にすると、職員が自分ごととして考えやすくなります。
- 医療保険と介護保険の両方の利用者を担当する職員がいる事業所では、介護保険の義務研修の対象者を先に確認してから年間計画を組むと、対象の漏れを避けやすくなります。
- 実施記録は毎回同じ様式で書くと、前年との違いを見比べやすくなります。
感染症とBCPをまとめて回す(訪問看護)
感染症BCPの研修・訓練は、感染症対策の研修・訓練と一体で実施できます。
- 感染症の研修・訓練は年1回以上、BCPの研修・訓練も各年1回以上ですので、同じ機会にまとめると年間の回数を整理しやすくなります。
- まとめて行った回は、感染症対策とBCPの両方の記録として使えるよう、記録欄に一体で実施した旨を書き添えておくと整理しやすくなります。
訪問看護で不要な体制整備——施設向けのひな形を流用しない
訪問看護では、身体拘束等適正化検討委員会(3か月に1回以上)や、事故発生防止検討委員会・安全対策担当者の配置など、施設系で求められる体制を新たに用意する必要はありません。施設向けの解説記事や汎用のひな形をそのまま流用すると、対象外のはずの委員会規程や会議体まで作ってしまい、限られた人員をさらに圧迫することになりかねません。
訪問看護向けの無料キットと年間計画表
虐待防止・感染症対策・BCP・ハラスメントの各研修キットには、レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿がそろっています。サービス類型で「訪問系」を選べば、訪問看護に必要な研修だけを絞り込んだ一覧と年間計画表が画面で作れます。データは端末内にのみ保存され、外部送信は行いません。
介護報酬・法令は改定が続きます(本記事は2026年9月時点の内容)。適用の最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等)へお願いします。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、提供者は責任を負いかねます。