介護の感染症対策研修は年何回?頻度・委員会・「減算はある?」を解説
更新日:2026-08-10・約5分で読めます
介護の感染症対策は、委員会・指針・研修・訓練の4つが全サービスで義務です。研修は年に何回か、施設と在宅で頻度がどう違うか、そして「研修をやらないと減算されるのか?」——現場でよくある疑問を一次資料の裏取り範囲で整理します。
感染症対策は全サービスで義務。中身は委員会・指針・研修・訓練
感染症の予防およびまん延の防止のための対策は、令和3年度の介護報酬改定で全サービスに義務付けられ、3年間の経過措置を経て令和6年(2024年)4月1日から完全義務化されています。
義務の中身は、感染対策委員会の設置・開催、指針の整備、研修の実施、そして訓練(シミュレーション)の4つです。研修だけでなく、実際に感染症が発生した場面を想定した訓練まで求められている点が特徴です。
- 委員会:感染対策を検討する委員会を定期的に開催し、結果を職員へ周知します。
- 指針:平常時の対応と、発生時の対応を定めた指針を整備します。
- 研修:指針にもとづく研修を定期的に実施します(頻度は下記)。
- 訓練:発生時対応を実際に確認する訓練を実施します(頻度は下記)。
研修・訓練の頻度:施設系は年2回以上、在宅系は年1回以上
感染症対策の研修・訓練の頻度は、委員会の開催間隔とあわせてサービス類型で分かれます。解釈通知(介護保険最新情報 Vol.934 等)で示された区分は次のとおりです。
- 施設系:委員会 おおむね3か月に1回以上、研修 年2回以上+新規採用時、訓練 年2回以上。
- 通所系・訪問系・居宅介護支援・福祉用具貸与:委員会 おおむね6か月に1回以上、研修 年1回以上、訓練 年1回以上。
- 短期入所系・多機能系:委員会 6か月に1回以上、研修・訓練 各年1回以上。
- 居住系(特定施設・グループホーム)は中間型:委員会は6か月に1回以上ですが、研修・訓練は年2回以上+新規採用時研修です。
「感染症研修をやらないと減算?」——研修未実施そのものに減算はない
よくある誤解ですが、感染症対策の「研修」を実施しなかったこと自体に対する報酬の減算はありません。ただし、これは「やらなくてよい」という意味ではありません。委員会・指針・研修・訓練は運営基準上の義務なので、未実施は運営指導・監査で是正指導の対象になります。
なお、感染対策を手厚く行った場合に算定できる「高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ=月10単位、Ⅱ=月5単位)」は、義務としての研修とは別の“加算”の話です。義務(研修・訓練)と加算を混同しないよう整理しておきましょう。
BCP・食中毒対策との一体実施で負担を減らす
感染症対策の研修・訓練は、感染症BCP(業務継続計画)の研修・訓練と一体で実施できます。同じ機会にまとめれば、一度の研修で両方の実施記録を残せます。
また、ノロウイルス等による食中毒・感染性胃腸炎への備えも感染症対策の重要テーマです。嘔吐物の処理手順や消毒液の扱いなど、現場で迷いやすい実務は研修で繰り返し確認しておくと安心です(具体的な消毒濃度などは最新の公的資料と自治体の指示にあわせてください)。
研修や訓練を実施したら、日時・参加者・内容を実施記録と出席簿に残し、委員会の議事録や指針とあわせて保管します。運営指導では「委員会・指針・研修・訓練の4つが実際に回っているか」が、これらの記録をもとに確認されます。
新規採用者への研修——施設系は必ず実施、在宅系は「望ましい」
新規採用時の研修は、施設系(介護保険施設)では定期研修と同様に必ず実施することが求められています。一方、通所系・訪問系・居宅介護支援・福祉用具貸与では、解釈通知上「新規採用時研修の実施が望ましい」とされており、施設系ほど厳格な扱いではありません。ただし、義務ではないからといって省略してよいという意味ではなく、年度途中で入職した職員が既存職員と同じ知識を持てるようにする観点から、実施しておくことをおすすめします。
- 施設系:定期研修と同様に、新規採用時に必ず実施。
- 通所系・訪問系・居宅介護支援・福祉用具貸与:新規採用時研修は「望ましい」取り扱い(義務ではない)。
訓練(シミュレーション)で扱う場面の例
訓練は、実際に感染症が発生した状況を想定して対応を確認するものです。座学の研修だけでは身につきにくい手順を、体を動かして確認する点が特徴です。よく扱われる場面には次のようなものがあります(具体的な実施内容は各事業所の指針・マニュアルに沿って決めてください)。
- 防護具(マスク・手袋・エプロン等)の正しい着脱の練習。
- 嘔吐物・排泄物が発生した場面を想定した、初動対応と消毒の手順確認。
- 発熱等の症状がある利用者・職員を発見した際の報告経路と隔離対応の確認。
- 感染症発生時の職員体制(応援要員の確保等)の共有。
- 普段と異なる時間帯(夜間・休日)の職員体制でも同じ手順で対応できるかの確認。
委員会で検討する内容の例
感染対策委員会では、指針の内容の見直し、直近の感染症流行状況の共有、研修・訓練の実施計画、発生時の対応の振り返りなどを検討します。委員会の開催記録(議事録)は、研修・訓練の実施記録とあわせて保管しておくと、指針にもとづいて計画的に取り組んでいることを示しやすくなります。
委員会のメンバーは事業所の規模や体制によって異なりますが、管理者や現場のリーダー層だけでなく、実際に介護にあたる職員も加わり、現場の実感に近い意見を反映できるようにしておくと、指針や研修の内容が実務に即したものになります。
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出典(一次資料)
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