介護の虐待防止研修は何をすればいい?頻度・減算・進め方(レジュメ無料)
更新日:2026-07-04・約5分で読めます
すべての介護サービスで義務になった高齢者虐待防止。「委員会・指針・研修・担当者」の4点セットのうち、研修は何を年に何回やればよいのか、未実施だと減算はいくらか——一次資料の裏取り範囲でわかりやすく整理し、そのまま使えるレジュメも案内します。
まず結論:虐待防止研修は全サービスで義務。頻度は類型で違う
高齢者虐待防止のための措置は、令和3年度の介護報酬改定で、規模や種別を問わず「すべての介護サービス」に義務付けられました。3年間の経過措置(努力義務)期間を経て、令和6年(2024年)4月1日から完全義務化されています。
よくある誤解として「福祉用具貸与や居宅療養管理指導は令和6年度から義務化された」という説明を見かけますが、これは正確ではありません。義務そのものは令和3年度から全サービス共通です。令和6年度に新しく加わったのは、後述する「減算」の仕組みです。
- 義務の内容は「委員会の開催」「指針の整備」「研修の実施」「担当者の配置」の4点セット。
- 研修は、この4点セットのうちの一つ。研修だけやれば足りるわけではない点に注意。
研修だけでは足りない:委員会・指針・担当者もセット
「研修さえ実施すれば虐待防止措置は済む」と考えると、運営指導で不足を指摘されることがあります。義務は4点セット全体で、研修はそのうちの一つです。それぞれの位置づけを押さえておきましょう。
- 委員会:虐待の防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、その結果を職員に周知します。
- 指針:虐待の防止のための指針を整備します。
- 研修:指針にもとづき、職員に対して定期的に研修を実施します(頻度は下記)。
- 担当者:虐待防止の措置を適切に実施するための担当者を配置します。
研修の頻度:施設・居住系は年2回以上、その他は年1回以上
虐待防止研修の実施頻度は、サービス類型によって分かれます。解釈通知や改定Q&A(介護保険最新情報 Vol.1345 等)で示されている区分は次のとおりです。
- 年2回以上+新規採用時:介護老人福祉施設(特養)・老健・介護医療院・(地域密着型)特定施設・認知症グループホーム など「施設系・居住系」。
- 年1回以上+新規採用時:訪問系・通所系・短期入所系・多機能系・居宅介護支援・介護予防支援 など。
- どの類型でも、新規に採用した職員には必ず研修を実施します。
未実施だと減算はいくら?——所定単位数の1%
令和6年4月に「高齢者虐待防止措置未実施減算」が新設されました。虐待防止の措置(委員会・指針・研修・担当者)が講じられていない場合に、所定単位数の1%が減算されます。対象は、居宅療養管理指導・特定福祉用具販売を除くほぼ全サービスです。
重要なのは、この減算が「虐待が実際に起きたかどうか」ではなく「措置を講じていない(=未実施)」ことに対して適用される点です。研修や委員会の記録を残していないと、実施していても「実施した証拠がない」とみなされるおそれがあります。
なお、福祉用具貸与については3年間の経過措置が設けられており、適用の開始は後ろ倒しになる見込みです(適用開始日の告示原文までは本サイトでは未確認のため、最終確認は指定権者へお願いします)。
当日の進め方と、記録として残すもの
研修そのものは、外部講師を呼ばなくても、自事業所の職員が読み上げ形式で実施して差し支えありません。大切なのは「いつ・誰が・何を学び・誰が参加したか」を記録として残すことです。運営指導(実地指導)では、この記録の有無が確認されます。
- レジュメ(研修で使った資料)
- 実施記録(日時・場所・講師・内容・参加者数・欠席者へのフォロー)
- 出席簿(参加者の署名)
- 理解度の確認(確認テストの結果など)
サービス類型別に見る委員会・研修の頻度一覧
「施設・居住系=年2回、その他=年1回」という大枠に加えて、類型ごとの委員会・指針・担当者の設置義務と頻度を一覧にすると、次のようになります。いずれの類型も、委員会・指針の整備・研修・担当者の配置という4点セットが義務である点は共通です。
- 介護保険施設・特定施設・認知症GH:研修 年2回以上+新規採用時。委員会・指針・担当者もあわせて義務。
- 通所系・訪問系・居宅介護支援・福祉用具貸与:研修 年1回以上+新規採用時。委員会・指針・担当者もあわせて義務。
- 短期入所系・多機能系:研修 年1回以上+新規採用時。委員会・指針・担当者もあわせて義務。
- 福祉用具貸与のみ、措置そのもの(委員会・指針・研修・担当者)の義務は他の類型と同じですが、未実施時の「減算」だけ3年間の経過措置があり、適用開始は令和9年4月の見込みです(義務の有無と、減算がいつから適用されるかは別の話という点に注意してください)。
つまずきどころ:新規採用時研修の抜けと、記録の残し方
定期の研修(年1回または年2回)はきちんと実施していても、年度途中に採用した職員への「新規採用時研修」が漏れる、という不備がよく起こります。対策としては、採用手続きのチェックリストに虐待防止研修の実施項目を組み込み、入職時にその場でレジュメを読み上げて記録を残す運用にしておくと抜けを防げます。
委員会についても、開催した記録(議事録)を残しておくことが重要です。研修だけを実施していても、委員会の議事録・指針の文書・担当者を定めた文書のいずれかが欠けていると、措置全体としては未実施とみなされるおそれがあります(詳しい減算の考え方は「高齢者虐待防止措置未実施減算はいくら?」で解説しています)。
無料で使えるレジュメ・確認テスト・記録様式
本サイトの「高齢者虐待防止研修キット」には、そのまま読み上げて実施できる約30分のレジュメ、確認テスト10問(解答・解説つき)、実施記録様式、出席簿がそろっています。すべて登録不要・無料で、入力内容はお使いのブラウザ内にのみ保存され、外部には送信されません。印刷(PDF保存)してそのまま保管できます。
出典(一次資料)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、提供者は責任を負いかねます。