定期巡回・随時対応型訪問介護看護の法定研修一覧|義務なのはどれ?条文で確かめる(2026年版)
更新日:2026-09-24・約7分で読めます
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(地域密着型サービス)で義務となる法定研修を、頻度・記録・減算まで整理します。運営基準は省令第34号の第3条の22〜第3条の40に置かれ、通所系と違って認知症介護基礎研修の規定はありません。条文の位置と取り違えやすい点を、一次資料の裏取り範囲でまとめました。
まず結論:義務は5分野+事故対応の記録。認知症介護基礎研修の規定はない
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は地域密着型サービスの一つで、運営基準は「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(省令第34号)の第2章に定められています。義務研修の整理では、訪問介護・訪問看護などの「訪問系」に近い枠で考えます。施設系・居住系ほど重い義務は課されていませんが、義務そのものがなくなるわけではありません。
押さえるべきは、①高齢者虐待防止②身体的拘束等(記録のみ)③感染症対策④業務継続計画(BCP)⑤ハラスメント対策の5分野と、事故発生時の対応記録です。通所系と違い、認知症介護基礎研修の受講義務を定めた条文は、この事業の規定には置かれていません。
義務研修と頻度の一覧(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)
高齢者虐待防止・感染症対策・業務継続計画(BCP)は、令和6年(2024年)4月1日から完全義務化されています(経過措置は終了済み)。身体的拘束の「記録」義務は令和6年度改定で新設されたものです。ハラスメント対策は分野ごとに根拠法令が異なり、パワハラ・セクハラは労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法上の措置義務、カスタマーハラスメントは2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法上の措置義務です。
- 高齢者虐待防止:義務(委員会・指針・研修・担当者)。研修は訪問系と同じ整理で年1回以上+新規採用時。未実施は所定単位数の1%減算。
- 身体的拘束等の適正化:委員会・指針・研修までは義務ではなく、「原則禁止+記録」が義務。拘束を行った場合は態様・時間・理由等の記録が必須(省令第34号第3条の22第8・9号)。
- 感染症対策:義務(委員会・指針・研修・訓練)。委員会はおおむね6か月に1回以上(同第3条の31第3項第1号)、研修・訓練は訪問系と同じ整理で年1回以上。新規採用時研修は「望ましい」とされ必須ではありません。研修未実施そのものへの減算はなし。
- 業務継続計画(BCP):感染症・災害の両方が義務。研修・訓練は各年1回以上。未策定減算は所定単位数の1%。
- ハラスメント対策:パワハラ・セクハラは事業主の措置義務(研修は履行手段の一つ)。カスタマーハラスメントは、2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法で措置義務。
条文の位置:省令第34号で該当条を確かめる
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の研修に関わる規定は、次の条にまとまっています。自事業所の規程や研修計画を見直すときは、この一覧から原文に当たると早く確かめられます。
- 第3条の22(具体的取扱方針):緊急やむを得ない場合を除く身体的拘束等の禁止と、行う場合の態様・時間・心身の状況・理由の記録。
- 第3条の30(勤務体制の確保等):従業者の資質向上のための研修の機会の確保、職場のハラスメント防止の方針の明確化等。
- 第3条の30の2(業務継続計画の策定等):計画の策定、従業者への周知、必要な研修・訓練の定期的な実施、定期的な見直し。
- 第3条の31(衛生管理等):感染症の予防及びまん延の防止のための委員会・指針・研修・訓練。
- 第3条の38(事故発生時の対応)と第3条の38の2(虐待の防止):事故の連絡・記録・損害賠償、および虐待防止の委員会・指針・研修・担当者。
認知症介護基礎研修の規定が置かれていない——通所型との違い
認知症介護基礎研修は、無資格で介護に直接携わる職員に受講を義務づける研修です。地域密着型の通所介護など通所系では、勤務体制の確保等の条文に「認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置」が置かれています。これに対し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の勤務体制の確保等(第3条の30)は、研修の機会の確保とハラスメント防止の措置までで、認知症介護基礎研修の規定は置かれていません。
訪問系は原則として認知症介護基礎研修の対象外という整理とも合致します。ただし、同じ法人が通所系や訪問入浴介護なども運営している場合は、そちらの事業所では対象になります。事業所ごとにどのサービスの職員かを分けて確認してください。
BCP未策定減算は「その他」区分の1%
業務継続計画未策定減算は、施設・居住系が所定単位数の3%、それ以外は1%です。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、訪問系・通所系などとともに1%の区分に入ります。感染症・自然災害のいずれか一方でも未策定なら減算の対象になるため、両方のBCPを整えておくことが前提です。
研修・訓練の頻度は各年1回以上で、感染症対策の研修・訓練と一体で行うこともできます。減算の適用開始日や経過措置の細かな扱いは、サービス種類ごとに異なる場合があるため、指定権者(市町村)の案内で確認してください。
定期巡回・随時対応型で対象外の体制整備——施設向けのひな形を流用しない
訪問系には「施設では義務だが訪問系は対象外」という分野がいくつかあります。必要のない体制整備に手を広げすぎないための整理です。
- 事故防止(安全管理)の委員会・指針・研修・安全対策担当者:義務は「介護保険施設」のみで、訪問系は対象外です。定期巡回・随時対応型でも、事故が起きたときの市町村・家族・居宅介護支援事業者への連絡、記録、損害賠償は共通の義務です(第3条の38)。
- 身体拘束の委員会・指針:「記録」までが義務で、委員会の設置・指針の整備・研修の実施は求められていません(施設系・居住系・短期入所系・多機能系との違い)。
定期巡回・随時対応型でも共通で必要な分野(頻度の法定なし)
倫理・法令遵守(運営基準の研修機会確保義務)、個人情報・プライバシー保護(秘密保持・安全管理措置の実効性を担保する手段としての研修)は、全サービス共通で必要です。研修機会の確保は第3条の30第4項に、秘密保持は第3条の33に定められています。回数の法定はありませんが、計画的な実施が求められます。
記録に残すこと(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)
研修の実施記録には日時・参加者・内容を残し、出席簿とあわせて保管します。身体拘束を行った場合は、その態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由の記録が必要で、記録は完結の日から2年間保存します(第3条の40)。感染症・BCPは委員会の記録とあわせて保管します。
夜間対応型訪問介護も同じ考え方(条文は準用)
夜間対応型訪問介護は、省令第34号第18条が定期巡回・随時対応型の規定(業務継続計画・衛生管理等・事故発生時の対応・虐待の防止)を準用しており、義務の中身は同じです。
身体拘束は第10条第5・6号(原則禁止+記録)、研修機会の確保とハラスメント防止は第15条第4・5項、記録の保存は第17条にあり、認知症介護基礎研修の規定はありません。BCP未策定減算は所定単位数の1%です。
定期巡回・随時対応型向け・段取りの工夫(法令とは別の実務)
ここから先は法令の定めではなく、研修を無理なく続けるための運用上の一案です。日中と夜間で勤務帯が分かれる事業所も多いため、体制に合うものだけ参考にしてください。
- 勤務帯が分かれる事業所では、全員が同じ日時に集まるのが難しいことがあります。回を分けて開くのか、欠席者には資料と確認テストで後日フォローするのかは、年間計画の段階で決めておくと当日慌てずに済みます。どこまでを実施に数えるかは、自事業所の指針や指定権者の案内で確認してください。
- 感染症の研修は、訪問先での手指衛生や標準予防策など、日常業務に近い場面を題材にすると、職員が自分ごととして考えやすくなります。
- 感染症とBCPの研修・訓練は、同じ機会にまとめると年間の回数を整理しやすくなります。
定期巡回・随時対応型向けの無料キットと年間計画表
この記事で挙げた4つの研修(虐待防止・感染症対策・BCP・ハラスメント)には、当サイトの無料キットがあります。読み上げ用のレジュメ、確認テスト、実施記録、出席簿がそろっており、そのまま研修に使えます。また、年間計画表でサービス類型に「訪問系」を選ぶと、対象の研修だけを並べた予定表を画面上で作成できます。入力した内容はお使いの端末の中で保持され、外部へは送信されません。
本記事は2026年9月時点の整理です。基準や報酬は今後改定される可能性があります。自事業所にどう当てはまるかは、指定権者(市町村)から出る最新の案内で確かめてください。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、提供者は責任を負いかねます。