認知症対応型通所介護の法定研修一覧|義務なのはどれ?条文の準用と認知症介護基礎研修(2026年版)
更新日:2026-09-24・約7分で読めます
認知症対応型通所介護(地域密着型サービス)で義務となる法定研修を、頻度・記録・減算まで整理します。運営基準は省令第34号の第61条で通所系の規定を準用しており、認知症介護基礎研修も対象になります。準用のしくみと取り違えやすい点を、一次資料の裏取り範囲でまとめました。
まず結論:認知症対応型通所介護は「通所系」の規定を準用して義務が決まる
認知症対応型通所介護は地域密着型サービスの一つで、運営基準は「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(省令第34号)に定められています。同省令の第61条は、通所介護と同じ型の規定(虐待の防止・業務継続計画・勤務体制の確保等・衛生管理等・事故発生時の対応など)を、認知症対応型通所介護の事業について準用しています。
押さえるべきは、①高齢者虐待防止②身体的拘束等(記録のみ)③感染症対策④業務継続計画(BCP)⑤ハラスメント対策⑥認知症介護基礎研修の6分野と、事故発生時の対応記録です。施設系・居住系ほど重い義務は課されていませんが、義務そのものがなくなるわけではありません。
義務研修と頻度の一覧(認知症対応型通所介護)
高齢者虐待防止・感染症対策・業務継続計画(BCP)は、令和6年(2024年)4月1日から完全義務化されています(経過措置は終了済み)。身体的拘束の「記録」義務は令和6年度改定で新設されたものです。ハラスメント対策は分野ごとに根拠法令が異なり、パワハラ・セクハラは労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法上の措置義務、カスタマーハラスメントは2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法上の措置義務です。
- 高齢者虐待防止:義務(委員会・指針・研修・担当者)。研修は通所系と同じく年1回以上+新規採用時。未実施は所定単位数の1%減算。
- 身体的拘束等の適正化:委員会・指針・研修までは義務ではなく、「原則禁止+記録」が義務。拘束を行った場合は態様・時間・理由等の記録が必須(省令第34号第51条第5・6号)。
- 感染症対策:義務(委員会・指針・研修・訓練)。委員会はおおむね6か月に1回以上(省令第34号第33条第2項を準用)、研修・訓練は通所系と同じ整理で年1回以上。新規採用時研修は「望ましい」とされ必須ではありません。研修未実施そのものへの減算はなし。
- 業務継続計画(BCP):感染症・災害の両方が義務。研修・訓練は各年1回以上。未策定減算は所定単位数の1%。
- ハラスメント対策:パワハラ・セクハラは事業主の措置義務(研修は履行手段の一つ)。カスタマーハラスメントは、2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法で措置義務。
- 認知症介護基礎研修:無資格で介護に直接携わる職員に受講義務(外部eラーニング等・受講1回)。省令第34号第30条第3項が準用され、対象です。
「準用」とは何か——通所介護の解説をそのまま当てはめてよい範囲
準用とは、別のサービスについて定めた条文を、必要な読み替えをしたうえで自分のサービスにも当てはめる条文の仕組みです。認知症対応型通所介護では、第61条が虐待の防止(第3条の38の2)、業務継続計画(第3条の30の2)、勤務体制の確保等(第30条)、衛生管理等(第33条)、事故発生時の対応(第35条)を準用し、条文中の従業者の名称を「認知症対応型通所介護従業者」と読み替えます。
このため、通所介護(デイサービス)向けに整理された義務の中身は、認知症対応型通所介護でも基本的に同じ型で考えられます。一方で、頻度の細かな取扱いや減算の適用日など、サービス種類ごとに違う点は、指定権者(市町村)の案内で確認してください。
認知症対応型通所介護でも受講対象の認知症介護基礎研修
認知症介護基礎研修は、無資格で介護に直接携わる職員に受講を義務づける研修です。訪問系の多くは対象外ですが、通所系は対象で、認知症対応型通所介護も省令第34号第30条第3項の準用により、全ての従業者(看護師・准看護師・介護福祉士・介護支援専門員などの資格を持つ者を除く)に受講させるために必要な措置を講じる義務があります。
介護福祉士・実務者研修修了者・初任者研修修了者・看護師・准看護師・介護支援専門員・社会福祉士・医師・PT/OT/STなどの資格を持つ職員は免除されます。受講は1回(更新の定めなし)で、新規採用の無資格者には採用後1年間の猶予があります。経過措置は令和6年3月31日で終了しており、完全義務化されています。
認知症対応型通所介護で対象外の体制整備——施設向けのひな形を流用しない
通所系には「施設では義務だが通所系は対象外」という分野があります。必要のない体制整備に手を広げすぎないための整理です。
- 事故防止(安全管理)の委員会・指針・研修・安全対策担当者:義務は「介護保険施設」のみで、通所系は対象外です。認知症対応型通所介護でも、事故が起きたときの対応(市町村・家族・居宅介護支援事業者への連絡)・記録・損害賠償は共通の義務です(第35条の準用)。
- 身体拘束の委員会・指針:「記録」までが義務で、委員会の設置・指針の整備・研修の実施は求められていません(施設系・居住系・短期入所系・多機能系との違い)。
認知症対応型通所介護でも共通で必要な分野(頻度の法定なし)
倫理・法令遵守(運営基準の研修機会確保義務)、個人情報・プライバシー保護(秘密保持・安全管理措置の実効性を担保する手段としての研修)は、全サービス共通で必要です。研修機会の確保は、第30条第3項の準用にも含まれます。回数の法定はありませんが、計画的な実施が求められます。
記録に残すこと(認知症対応型通所介護)
研修の実施記録には日時・参加者・内容を残し、出席簿とあわせて保管します。身体拘束を行った場合は、その態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由の記録が必要で、記録は完結の日から2年間保存します(省令第34号第60条)。感染症・BCPは委員会の記録とあわせて保管します。認知症介護基礎研修は、対象職員を一覧にして受講の有無を確認できるようにしておくと、入職時期の異なる職員の受講漏れを防ぎやすくなります。
認知症対応型通所介護の事業所向け・段取りの工夫(法令とは別の実務)
ここから先は法令の定めではなく、研修を無理なく続けるための運用上の一案です。少人数の事業所が多いため、体制に合うものだけ参考にしてください。
- 少人数の事業所では、全員が同じ日時に集まる調整が難しいことがあります。回を分けて開くのか、欠席者には資料と確認テストで後日フォローするのかは、年間計画の段階で決めておくと当日慌てずに済みます。どこまでを実施に数えるかは、自事業所の指針や指定権者の案内で確認してください。
- 感染症の研修は、送迎や食事・入浴の介助、集団での活動といった日常業務に近い場面を題材にすると、職員が自分ごととして考えやすくなります。
- 認知症介護基礎研修の対象者(無資格の職員)は、入職時に一覧へ登録しておくと、採用後1年間の猶予の管理がしやすくなります。
- 感染症とBCPの研修・訓練は、同じ機会にまとめると年間の回数を整理しやすくなります。
認知症対応型通所介護向けの無料キットと年間計画表
当サイトの無料キットは、虐待防止・感染症対策・BCP・ハラスメントの4テーマについて、読み上げ用のレジュメ、確認テスト、実施記録、出席簿を一式ご用意しています。認知症介護基礎研修は受講の案内と記録の様式です。年間計画表では、サービス類型に「通所系」を選ぶと、この記事で挙げた研修に絞った予定表を画面上で作れます。入力内容はお使いの端末の中にとどまり、外部へは送信されません。
ここに書いた内容は2026年9月時点の整理です。報酬・基準は改定されることがあるため、自事業所への具体的な当てはめは、指定権者(市町村)の最新の案内でご確認ください。
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出典(一次資料)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、提供者は責任を負いかねます。