福祉用具貸与・特定福祉用具販売の法定研修一覧|義務なのはどれ?貸与と販売の違い(2026年版)
更新日:2026-09-21・約6分で読めます
福祉用具貸与・特定福祉用具販売で義務となる法定研修を、頻度・減算まで整理します。福祉用具は「貸与」と「販売」で減算や受講義務の扱いが分かれる点に注意が必要です。「令和6年度に義務化された」というよくある誤解も含め、一次資料の裏取り範囲でまとめました。
まず結論:義務そのものは全サービス共通、違いが出るのは「貸与」と「販売」
福祉用具貸与の事業所も、高齢者虐待防止・感染症対策・業務継続計画(BCP)・ハラスメント対策に義務があります。施設系・居住系のように委員会や研修年2回が求められる分野は少ない一方、義務そのものがなくなるわけではありません。押さえるべきは、①高齢者虐待防止②身体的拘束等(記録のみ)③感染症対策④業務継続計画(BCP)⑤ハラスメント対策の5分野です。
特定福祉用具販売も、高齢者虐待防止の措置(研修は年1回以上+新規採用時)は貸与と同じです。一方で、高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算の対象からは除かれています。
義務研修と頻度の一覧(福祉用具貸与)
高齢者虐待防止・感染症対策・業務継続計画(BCP)は、令和6年(2024年)4月1日から完全義務化されています(経過措置は終了済み)。ハラスメント対策は分野ごとに時期が異なり、パワハラ・セクハラの措置義務は既に発生済みですが、カスタマーハラスメントは2026年10月1日から措置義務化されます。
- 高齢者虐待防止:委員会・指針・研修・担当者の義務は令和3年度から全サービス共通です。研修は年1回以上+新規採用時で、特定福祉用具販売も同じです。
- 身体的拘束等の適正化:委員会・指針・研修の義務はなく、「原則禁止+記録」のみが義務です(令和6年度改定)。やむを得ず行った場合は、切迫性・非代替性・一時性の3要件の記録がないと指導の対象になります。
- 感染症対策:義務(委員会・指針・研修・訓練)。委員会はおおむね6か月に1回以上、研修・訓練は年1回以上。新規採用時研修は「望ましい」とされ、必須ではありません。研修未実施そのものへの減算はなし。
- 業務継続計画(BCP):感染症・災害の両方が義務。研修・訓練は各年1回以上。
- ハラスメント対策:パワハラ・セクハラは事業主の措置義務(研修は履行手段の一つ)。カスタマーハラスメントは2026年10月1日から措置義務化。
貸与と販売の違い——減算・受講義務は束ねずに分けて確認
福祉用具は、貸与と特定福祉用具販売で減算や受講義務の扱いが異なります。「福祉用具」とひとまとめに読むと、対象外の項目を対象と誤解したり、その逆になったりします。
- 高齢者虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%・令和6年4月新設):福祉用具貸与は対象ですが、3年間の経過措置があります(適用開始は令和9年4月の見込みで、告示原文の日付は本サイトでは未確認)。特定福祉用具販売は減算の対象外です。
- 業務継続計画未策定減算(所定単位数の1%):福祉用具貸与は対象で、経過措置(令和7年3月31日まで無条件で適用しない)を経て、令和7年4月1日から適用されています。特定福祉用具販売は減算の対象外です。
- 認知症介護基礎研修の受講義務:福祉用具貸与も特定福祉用具販売も対象外です。
- 貸与と販売の両方を行う事業所:貸与の行と販売の行を分けて、それぞれ自事業所の指定に当てはめて確認してください。
「令和6年度に義務化された」は誤解——変わったのは減算
よくある誤解に「福祉用具貸与の虐待防止は令和6年度に義務化された」というものがあります。正しくは、委員会・指針・研修・担当者の義務は令和3年度から全サービス共通で、令和6年4月に完全義務化されました。令和6年度に新設されたのは「減算」です。
福祉用具貸与について3年間の経過措置があるのは「減算」であり、義務そのものではありません。「減算が始まるまで研修しなくてよい」という意味ではないので注意してください。
福祉用具事業で対象外・誤解しやすい点
施設系で求められる体制のうち、福祉用具の事業所には求められないものがあります。ただし「委員会がない=何もしなくてよい」ではありません。
- 事故防止(安全管理)の委員会・指針・研修・安全対策担当者:義務は介護保険施設のみです。ただし、事故が起きたときの対応・記録・報告・損害賠償は全サービス共通の義務です。
- 身体的拘束等:委員会・指針・研修の義務はなく、「原則禁止+記録」が義務です。記録がないと指導の対象になります。
運営基準上の研修機会の確保と、個人情報の扱い
運営基準の「勤務体制の確保等」には、従業者に研修の機会を確保する義務があり、全サービス共通です。実施回数の法定はありません。
個人情報については、秘密保持等が運営基準上の義務で、その実効性を担保する手段として従業者への研修の実施が求められる、というのが正確な位置づけです。研修そのものが法律に明記された義務というわけではありません。
記録に残すこと(福祉用具)
実施した研修は、日時・参加者・内容を実施記録と出席簿に残しておくと、実施状況を後から説明しやすくなります。身体的拘束を行った場合は、3要件(切迫性・非代替性・一時性)の記録が求められます。
職員が利用者宅への訪問や納品で外出する時間が多い事業所では、記録が後回しになりがちです。研修の終了時にその場で記入する運用にしておくと、抜けを防げます。
福祉用具事業所の段取りの工夫(法令とは別の実務)
以下は法令とは別に、現場で無理なく続けるための段取りの一例です。事業所ごとに事情が違うため、自事業所に合うものだけを取り入れてください。
- 出張や納品で職員がそろいにくい場合は、時間帯を分けて短く区切って行うなど、全員が参加しやすい形を年間計画の段階で決めておくと運営しやすくなります。どのような形で行えば研修の実施として扱われるかは、自事業所の指針や指定権者の案内でご確認ください。
- 感染症の研修では、自事業所の指針・マニュアルに沿って、用具の受け渡しや返却後の取り扱いなど日常業務に近い場面を題材にすると、職員が自分ごととして考えやすくなります。
- 事故防止は委員会の義務がない分、ヒヤリハットや事故事例を短時間で共有する場を設けておくと、再発防止の意識づけに役立ちます。
- 実施記録の様式は年度をまたいで同じものを使うと、前年との比較がしやすくなります。
- 貸与と販売の別を年間計画表の備考欄に書いておくと、減算や受講義務の確認漏れを防ぎやすくなります。
一体実施で年間の負担を抑える
感染症BCPの研修・訓練は、感染症対策の研修・訓練と一体で実施できます。
- 感染症の研修・訓練は年1回以上、BCPの研修・訓練も各年1回以上ですので、同じ機会にまとめると年間の回数を整理しやすくなります。
- 一体で実施した回は、感染症対策とBCPのどちらの実施記録としても残せるよう、記録にその旨を書いておくと整理しやすくなります。
福祉用具事業所向けの無料キットと年間計画表
本サイトの「義務研修一覧表」でサービス類型に「福祉用具貸与・販売」を選ぶと、この類型に当てはまる研修だけを絞り込んだ一覧と、頻度に応じて月を配置した年間計画表が作れます。虐待防止・感染症対策・BCP・ハラスメントの各キットには、レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿がそろっています。無料・登録なしで、入力内容はお使いのブラウザの中にだけ保存されます。
法令や介護報酬は改定されることがあります(本記事は2026年9月時点の整理)。実際の適用は、事業所を指定した都道府県・市区町村(指定権者)にご確認ください。
この記事を書いたチームは、note でも介護の仕事で考えたことを書いています。note をフォローする
出典(一次資料)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、提供者は責任を負いかねます。