介護記録の書き方|運営指導で見られる項目・客観と主観の分け方・NG表現の直し方(サービス提供の記録・2026)
更新日:2026-11-04・約21分で読めます
介護記録(ケース記録・サービス提供の記録)は、運営基準が「提供した具体的なサービスの内容等を記録」するよう求め、その完結の日から2年間の保存を定めている記録です。解釈通知は、記録する事項として、提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を挙げています。この記事は、省令・解釈通知・運営指導マニュアルの確認項目・医療介護分野の個人情報ガイダンスをページ番号つきで確かめ、記録の位置づけ、見たこと(客観)と評価(主観)の分け方、「元気そう」「問題なし」「拒否」などの書き換え例、運営指導で見られる項目、開示請求や事故の時の記録の使われ方、電子の記録の扱い、新人研修での教え方までを整理しました(2026年11月時点)。運営基準は都道府県・市区町村の条例で定められているため、保存年限などの最終的な適用は指定権者(都道府県・市区町村)にご確認ください。
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まず結論:介護記録は「あとから読んだ人が、その日のサービスと利用者の様子を確かめられる」ように書く
介護記録の書き方で迷う点は、何をどこまで書けばよいか、と、どう書けば誤解されないか、の2つかもしれません。記録の様式や文体を定めた国の規定は、確認した範囲にはありません。一方で、記録に入れる事項と保存の期間、運営指導で確かめる項目ははっきり書かれています。そこで、書く内容は資料の言葉に合わせ、書き方は「見たこと・聞いたこと・数値」と「評価・推測」を分ける、という2本の柱で整えると、運営指導でも、家族への説明でも、職員どうしの申し送りでも使える記録になります。
早見表(2026年11月時点):
- 根拠:訪問介護は運営基準(平成11年厚生省令第37号)第19条第2項、特養は運営基準(平成11年厚生省令第39号)第8条第2項。通所介護など他の居宅サービスも第19条を準用しています。
- 記録する事項:提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項(解釈通知)。
- 保存:その完結の日から2年間(訪問介護は第39条第2項、特養は第37条第2項)。「完結の日」は、契約終了などで一連のサービス提供が終了した日です。条例で別の年限を定めている指定権者もあるため、確認が要ります。
- 運営指導:確認項目は「サービス提供記録に提供した具体的サービス内容等が記録されているか」など。確認文書は「サービス提供記録」です。
- 書き方(当社の整理):見たこと・聞いたこと・数値を先に書き、評価や推測は根拠と一緒に「〜と思われる」と分けて書きます。
- 開示:提供したサービス内容等の記録は、介護関係事業者が扱う個人情報の例に挙がっており、本人から開示を求められることがあります。
記録の法的な位置づけ①:何を記録するか(運営基準と解釈通知)
訪問介護の運営基準第19条は、記録について2つのことを定めています。第1項は、提供日と内容、利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額などを、居宅サービス計画を記載した書面またはこれに準ずる書面に記載すること。第2項は、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に提供することです。日々の介護記録に当たるのは、第2項の記録です。
居宅サービスの解釈通知(老企第25号)は、第2項について、提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録するとともに、サービス事業者間の密接な連携等を図るため、利用者からの申出があれば情報を提供することとした、と説明しています。「その他適切な方法」の例として、利用者の用意する手帳等に記載する方法が挙げられています(平成18年3月31日の改正通知の新旧対照表 印字13ページで確認。その後の平成30年度・令和3年度・令和6年度の新旧対照表で、この項の改正は確認した範囲にはありません)。
特養の運営基準第8条第2項も、サービスを提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録しなければならない、としています。施設の解釈通知(老企第43号)は、サービスの提供日、提供した具体的なサービスの内容、入所者の心身の状況その他必要な事項を記録すること、その記録は第37条第2項に基づき2年間保存すること、としています。
- 通所介護:第105条が第19条を準用します。加えて第99条第5項は、通所介護従業者が、通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行うことを定めています。
- 訪問介護:第24条第5項は、サービス提供責任者が、訪問介護計画の作成後に実施状況の把握を行い、必要に応じて計画を変更するとしています。日々の記録は、その把握の材料になります。
- 他のサービス:訪問入浴介護・訪問看護・短期入所・特定施設なども、それぞれの運営基準に「記録の整備」の条があり、提供した具体的なサービスの内容等の記録が保存の対象に入っています。お使いのサービスの条番号を確認してください。
記録の法的な位置づけ②:いつまで保存するか(完結の日から2年・条例の確認)
訪問介護の運営基準第39条第2項は、訪問介護計画、提供した具体的なサービスの内容等の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知に係る記録、苦情の内容等の記録、事故の状況及び処置の記録の6つを整備し、その完結の日から2年間保存することを求めています。通所介護は第104条の4第2項、特養は第37条第2項が同じ形で定めています。
「完結の日」の意味は、令和3年度改正で解釈通知に加わりました。居宅サービスの解釈通知は、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指す、としています(令和3年度改正の新旧対照表 印字15ページ。施設の解釈通知も同じ趣旨=印字19ページ)。この定義どおりに読むと、何年も利用が続いている方の記録は、最初の日の分も含めて、契約が終わった日から2年間残すことになります。
運営基準は、都道府県・市区町村の条例で定められています。運営指導マニュアルは、文書等の保存年限について「2年から5年程度に定めている場合が多いと思いますが」と書いています(印字15ページ)。省令より長い年限や、起算日の扱いを条例・規則で定めている指定権者もあるため、指定権者の定めを確認して、事業所の保存のルールに書いておきます。
記録の法的な位置づけ③:誰のための記録か
国の資料の書き方から読み取れる記録の役割は、次の4つです。どれも、書いた職員以外の人が読むことを前提にしています。
- 利用者本人のため:利用者から申出があれば、記録の情報を提供します(第19条第2項)。個人情報保護法の開示の請求の対象にもなります(後の節)。
- 事業所間の連携のため:解釈通知は、情報提供の目的を「サービス事業者間の密接な連携等を図るため」としています。居宅介護支援事業所や他のサービスの職員が、同じ利用者の様子を共有する材料になります。
- 計画の見直しのため:通所介護の実施状況・目標の達成状況の記録(第99条第5項)や、訪問介護計画の実施状況の把握(第24条第5項)は、日々の記録が土台になります。
- サービスを提供したことの説明のため:運営指導マニュアルは、適切にサービスが行われた上での報酬請求かどうかについて、第一義的には介護保険施設等に説明責任があるとしたうえで、サービス提供記録の有無だけでは判断できず、勤務実績や計画、送迎の記録など複数の事実関係から判断するとしています(印字53ページ)。記録は、事業所が説明するための材料の中心になります。
客観と主観を分ける:記録の文を3つの種類に分けて書く(当社の整理)
「客観的に書く」とよく言われますが、記録から評価や推測をすべて消すと、かえって職員の気づきが伝わらなくなります。大切なのは、評価や推測を書かないことではなく、事実と混ぜないことです。国の事故予防のガイドライン(令和7年11月)も、事故報告の原因分析について、事実と推測を明確に分けることを効果的な工夫に挙げています(17ページ)。日々の記録にも、同じ考え方を使えます。
当社の整理として、記録の文を次の3つの種類に分けて考えると、書き分けやすくなります。
- 見たこと・したこと(客観):時刻、場所、行動、介助の内容、量や回数。例「12時10分、昼食。主食は半分、副食は3割を自分で食べた」。
- 聞いたこと(本人や家族の言葉):言い換えずに「」で書きます。例「『今日は少し寒い』と話す」。
- 評価・推測(主観):根拠となる事実を先に書き、評価であることが分かる言葉を付けます。例「昨日より食事量が少なく、表情も硬い。体調の変化の可能性があるため、看護職員に報告した」。
- 数値:体温・血圧・食事量・水分量・排泄の回数などは、単位と測った時刻を付けます。
- 誰が:記録者の氏名(または職員番号)と、記録した日時を残します。後から追記した時は、追記であることと追記の日時が分かるようにします。
なぜ分けるのか:開示・訂正の請求と「評価」の扱い
医療・介護関係事業者向けの個人情報ガイダンス(個人情報保護委員会・厚生労働省、令和8年4月一部改正)は、本人から保有個人データの訂正等の請求を受けた場合でも、訂正等の対象が事実でなく評価に関する情報である場合などは、訂正等を行う必要はない、としています(印字75ページ)。つまり、記録の中の「事実」と「評価」は、制度の上でも扱いが分かれます。
事実と評価が1つの文に混ざっていると、本人や家族が記録を読んだ時に、どこまでが起きたことで、どこからが職員の見立てなのかが分からず、行き違いの元になります。「見たこと」と「そう考えた理由」を分けて書いておけば、評価に異論が出た場合でも、事実の部分は共有したまま話し合うことができます(当社の整理)。
NG表現の直し方①:あいまいな言葉を、見たこと・数値に置き換える(当社の例)
以下は当社が作った書き換えの例で、実在の利用者・事業所とは関係ありません。国の資料が「この言葉を使ってはいけない」と定めているわけではなく、読んだ人が同じ場面を思い浮かべられるかどうか、という観点で選んでいます。
- 「元気そう」→「朝食を全量食べた。自分で歩いて食堂まで来た。『よく眠れた』と話す」。何を見て元気と判断したかを書きます。
- 「問題なし」「特変なし」→「排泄:10時・14時にトイレへ誘導し、排尿あり。入浴時に仙骨部を確認し、赤みなし」。何を確かめて、変わりがなかったのかを書きます。
- 「いつもどおり」→ その日の具体的な様子を1つでも書きます。「いつも」を知らない職員や家族には伝わりません。
- 「食事量少なめ」→「主食は半分、副食は3割」。割合や量で書くと、前の日や翌日と比べられます。
- 「水分よく摂れた」→「10時にお茶150ml、15時に100ml」。量と時刻で書きます。
- 「よく眠れていた」(夜勤)→「0時・2時・4時の巡視時、目を閉じて横になっていた。4時に一度トイレへ起きた」。巡視で見えた範囲を書き、眠りの深さは推測であることを分けます。
NG表現の直し方②:決めつけ・レッテルになりやすい言葉(当社の例)
次の言葉は、職員の評価が先に立ち、利用者の言動の中身が残らない書き方になりやすいものです。言葉そのものを禁止するより、「その言葉を使いたくなった場面で、何が起きていたか」を書く練習をすると、記録の質がそろいます。
- 「拒否」→「14時、入浴の声かけに『寒いから今日はいい』と話す。15時に脱衣所を暖めたことを伝えて再度声かけし、入浴した」。本人の言葉と、職員が何をしたか、その結果を書きます。
- 「不穏」「落ち着きがない」→「16時から16時30分の間に3回立ち上がり、出入口へ歩いた。『家に帰る』と話す。職員が隣に座って話を聞くと、5分ほどで椅子に座って過ごした」。
- 「暴言」「暴力」→ 本人の言葉をそのまま「」で書き、直前に何があったか(介助の内容、周りの音、時間帯)と、けがの有無を書きます。
- 「わがまま」「こだわりが強い」→「おかずを食べる順番を自分で決めたいと話す。職員が順番を聞いてから配膳した」。人物の評価でなく、本人の希望と対応を書きます。
- 「〜させた」「〜してあげた」→「〜を介助した」「〜を一緒に行った」。本人が主語になる書き方にそろえます。
- 「家族が神経質」→「長女から『夜中のトイレの回数を知りたい』と電話があった。夜勤の記録から回数を伝えた」。家族の言葉と要望、事業所の対応を書きます。
書き換えの全体例:同じ場面の記録(当社の例・架空の事例)
直す前:「午後、不穏。帰宅願望あり、拒否強い。様子観察。問題なし。」
直した後:「15時50分頃、デイルーム。利用者(80代・要介護2)が椅子から立ち上がり、出入口の方へ歩く。『夕飯の支度をしないと』と話す(本人の言葉)。16時10分までに同様に3回。職員が隣に座り、夕方の送迎の時刻(16時40分)を伝えると、『そう』と言って椅子に座った。おやつ(16時)は促すと半分食べた。水分はお茶100ml。転倒・けがなし。午前中の入浴後から表情が硬く、疲れが出ている可能性がある(推測)。送迎時にご家族へ様子を伝え、帰宅後の様子を連絡帳で尋ねた。」
直した後の記録は長く見えますが、時刻・場所・本人の言葉・回数・職員の対応・結果・推測の区別・申し送りがそろっています。読んだ職員は、翌週の同じ時間帯にどう関わればよいかを考えられ、家族が読んでも、何が起きて事業所がどう対応したかが分かります。
運営指導で見られる記録の項目:確認項目と確認文書
介護保険施設等運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)の別添「確認項目及び確認文書」は、サービスの提供の記録について、次の項目を挙げています。
- 訪問介護(101・印字1ページ):「居宅サービス計画等にサービス提供日及び内容、介護保険法第41条第6項の規定により利用者に代わって支払いを受ける費用の額等が記載されているか」「サービス提供記録に提供した具体的サービス内容等が記録されているか」→ 確認文書「居宅サービス計画」「サービス提供記録」。
- 通所介護(106・印字18ページ):上の2つに加えて「送迎が適切に行われているか」→ 確認文書に「送迎記録がわかるもの」。通所介護計画の作成(第99条)では、「利用者について、計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行っているか」(印字18〜19ページ)。
- 介護老人福祉施設(301・印字56ページ):「提供した具体的なサービスの内容等(サービスの提供日、提供したサービスの内容、入所(入居)者の心身の状況、その他必要な事項)を記録しているか」→ 確認文書「サービス提供記録」「モニタリングの結果がわかるもの」。
- 施設の介護(第13条・印字57ページ):「入浴回数は適切か、褥瘡予防体制は整備されているか」の確認文書も「サービス提供記録」です。入浴の回数や褥瘡予防のケアを日々の記録に残しておくと、この確認にそのまま示せます(当社の整理)。
運営指導での見られ方:抽出の範囲と、記録が無かった時
マニュアルは、運営指導で確認する文書の範囲を、運営指導を行う年度の前年度から直近(おおむね1月程度前まで)の実績に係るものとしています(印字15ページ)。利用者へのサービスの質を確認するために記録等を確認する場合は、特に必要と判断する場合を除き、対象は原則として3名以内とする、としています(印字15〜16ページ)。
同じマニュアルは、保存すべき文書等がない等の不明な点が見つかった場合は、それよりも過去の状況を確認せざるを得なくなり、事実関係を確認するため監査を実施する必要がある、としています(印字15ページ)。また、運営基準に規定するサービス提供記録がないという事実だけでは基本報酬の返還を求める根拠にはならない、とも書いています(印字19ページ)。記録が無いことがそのまま返還につながるわけではありませんが、サービスを提供したことを事業所が説明できない状態になり、監査に切り替わるきっかけになりえます。
- 計画との対応(当社の整理):記録の内容が、居宅サービス計画や個別のサービス計画のサービス内容と対応しているかを、月に1度は見直します。計画にない介助が続いている場合は、計画の見直しの材料としてサービス提供責任者や管理者に伝えます。
- 提供者と時間(当社の整理):誰が、何時から何時まで提供したかが、勤務の記録と食い違わないようにします。マニュアルが挙げる「従業者の勤務体制や勤務実績」「送迎の記録」と並べて読まれることを前提に書きます。
開示請求で記録はどう扱われるか
個人情報保護法第33条は、本人が、自分が識別される保有個人データの開示を、個人情報取扱事業者に請求できるとしています。事業者は、本人が請求した方法(電磁的記録の提供など)で、遅滞なく開示しなければなりません。ただし、本人または第三者の生命・身体・財産その他の権利利益を害するおそれがある場合などは、全部または一部を開示しないことができます。
医療・介護関係事業者向けのガイダンスは、介護関係事業者における個人情報の例として、ケアプラン、介護サービス提供にかかる計画、提供したサービス内容等の記録、事故の状況等の記録を挙げています(印字8ページ)。開示しないことができる例として、家族や関係者が職員に情報提供をしている場合に、その人の同意を得ずに本人に提供すると、本人と家族等との人間関係が悪化するなど、その人の利益を害するおそれがある場合を挙げ、個々の事例への適用は個別具体的に慎重に判断する必要がある、としています(印字72ページ)。
- 書き方への影響(当社の整理):記録は、本人や家族が読む可能性を前提に書きます。人物の評価や、根拠のない推測を書かない理由の1つです。
- 家族から聞いた情報(当社の整理):誰から聞いた情報かを書いておくと、開示の判断の時に、第三者の情報が含まれる部分を見分けやすくなります。
- 手続き:開示の窓口や手順は、事業所の個人情報保護の規程で決めておきます。個人情報の取扱いの研修は、個人情報保護研修の記事とキットで整理しています。
事故の時に記録はどう使われるか:「責めない記録」と矛盾させない
事故が起きた時は、運営基準が、事故の状況及び事故に際して採った処置について記録することを求めています(訪問介護は第37条第2項、通所介護は第104条の3第2項、特養は第35条第3項)。国の事故予防のガイドラインは、事故報告や原因分析に備え、可能な限り記録を取ることを、事故発生前後の対応の流れに挙げています(22ページ)。転倒の事例では、これまでの介護記録やヒヤリ・ハットの情報を分析し、利用者が夕方に立ち上がろうとする傾向を見つけて、時間帯ごとに注意すべき利用者を抽出した例も紹介しています(31ページ)。
事故やヒヤリハットがあった日の介護記録と、ヒヤリハット報告書・事故報告書の内容は、同じ事実でそろえます。報告書は要因と対策を分析する書類で、職員を責めるためのものではない、というのが国の資料の考え方です。介護記録の側にだけ「職員の不注意」「確認不足」などの反省の言葉を書くと、報告書の分析と食い違い、後から読んだ人に別の印象を与えます(当社の整理)。
- 介護記録に書くこと(当社の整理):発見した時刻と場所、発見時の利用者の状態(姿勢・意識・痛みの訴え・けがの有無)、その場で行った対応、誰に報告したか、家族等への連絡の時刻。
- 報告書に書くこと:要因(本人・職員・環境)と対策の案。ヒヤリハット報告書の項目と書き方は、ヒヤリハット報告書の記事で整理しています。
- 時刻をそろえる(当社の整理):介護記録・報告書・看護記録の時刻が食い違わないよう、最初に書いた記録の時刻を基準にします。
電子の記録(ICT)と電子署名の扱い
運営基準は、省令で書面で作成・保存することが規定され又は想定されるものについて、書面に代えて電磁的記録で行うことができるとしています(居宅基準第217条第1項、特養の基準第50条第1項)。被保険者証に関するもの等は除かれます。
解釈通知(令和3年度改正で新設された雑則)は、電磁的記録による作成を、事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法等とし、保存は、作成した電磁的記録をファイルで保存する方法と、書面をスキャナ等で読み取った電磁的記録を保存する方法を挙げています。電磁的記録により行う場合は、医療・介護関係事業者向けの個人情報ガイダンスと、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること、としています(居宅サービスは令和3年度改正の新旧対照表 印字75ページ、施設は印字23ページ)。
交付・説明・同意・締結などを電磁的方法で行う場合は、事前に利用者等の承諾を得ることとされ、電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより利用者等が同意の意思表示をした場合等が考えられ、「押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること、締結は、書面における署名又は記名・押印に代えて電子署名を活用することが望ましい、とされています(同 印字75〜76ページ)。日々のサービス提供の記録に、押印や署名を求める規定は、確認した省令・解釈通知の範囲にはありません。指定権者(自治体)が押印や署名についての様式や指導方針を示している場合は、それに従ってください。
- 記録ソフトの活用:事故予防のガイドラインは、介護テクノロジーの例として、記録作成を音声入力等で補助する介護記録ソフトを挙げています(19ページ)。
- 書き換えの履歴(当社の整理):紙なら元の文字が読めるように線を引き、訂正した日と訂正者を残す。電子なら更新の履歴が残る設定にし、誰がいつ直したかを後から確かめられるようにします。
- 閲覧できる人(当社の整理):記録には利用者の心身の状況が含まれるため、閲覧・持ち出しの範囲を決め、端末のログインを職員ごとに分けます。
- LIFE:科学的介護情報システム(LIFE)へのデータ提出を要件とする加算を算定している場合は、日々の記録とは別に、その加算の要件に沿った評価と提出が要ります。本記事では扱いません。
新人研修での教え方:30分の書き換え演習(当社の例)
以下は当社の整理による進め方の例で、法令や国の資料が定めた形ではありません。記録の書き方は、決まりを説明するだけより、実際に書き換えてみる方が身につきやすい内容です。事例は、利用者の氏名や特定につながる情報を伏せて使います。
- 準備:この記事のNG表現の例と、事業所の記録から氏名を伏せた記録を2〜3件用意します。
- 0〜5分 目的の確認:記録は「本人・家族・他の職員・行政が後から読む文書」であること、運営基準が記録と保存を求めていることを伝えます。
- 5〜15分 仕分け:記録の文に、事実(見たこと・したこと)、本人の言葉、評価・推測の3色で線を引きます。
- 15〜25分 書き換え:「元気そう」「拒否」「不穏」などを、時刻・行動・本人の言葉・職員の対応・結果に書き換えます。2人1組で読み合い、相手が同じ場面を思い浮かべられるかを確かめます。
- 25〜30分 まとめ:事業所の記録の決まり(記録する時機、追記と訂正の仕方、保存の場所)を確認します。
- 記録の残し方:研修の実施内容の記録の付け方は、研修記録の書き方の記事で整理しています。
研修キットとの組み合わせ方
本サイトの研修キットは、読み上げ用レジュメ・確認テスト・実施記録様式・出席簿を無料で表示・印刷できます。個人情報保護の研修キットで記録の取扱いと開示の考え方を、事故防止の研修キットで事故の時の記録と報告を、身体拘束適正化の研修キットで身体的拘束等を行う場合の記録(態様と時間、その際の心身の状況、緊急やむを得ない理由)を扱えます。記録の書き方の演習は、この記事の例を使って、各研修の後半に組み込むことができます。
法令や国の資料は改訂されます(本記事は2026年11月時点)。運営基準は条例で定められているため、保存年限・起算日などの最終的な適用は、指定権者(都道府県・市区町村)にご確認ください。開示請求への個別の対応は、事業所の規程と、必要に応じて専門家にご相談ください。本記事は法的助言ではありません。
この記事で確認した一次資料
2026年11月4日に、次の資料の本文を取得し、該当箇所を確かめました。ページ番号は各資料の印字ページです。
- 省令:平成11年厚生省令第37号 第19条・第24条・第37条・第39条・第99条・第104条の3・第104条の4・第105条・第217条、平成11年厚生省令第39号 第8条・第35条・第37条・第50条(e-Gov法令検索)。
- 解釈通知:老企第25号のサービスの提供の記録の項(平成18年3月31日の改正通知の新旧対照表 印字13ページ)、記録の整備の「完結の日」と雑則の電磁的記録・電磁的方法(令和3年度改正の新旧対照表 印字15・75・76ページ)。老企第43号のサービスの提供の記録の項(厚生労働省 法令等データベースの掲載版)、記録の整備と雑則(令和3年度改正の新旧対照表 印字19・23ページ)。
- 運営指導:介護保険施設等運営指導マニュアル(令和6年7月改訂)の印字15・16・19・53ページと、別添「確認項目及び確認文書」の印字1・18・19・56・57ページ。
- 個人情報:個人情報の保護に関する法律 第33条・第34条(e-Gov法令検索の掲載版)、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(令和8年4月一部改正)の印字8・72・75ページ。
- 事故予防:介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン(令和7年11月)の17・19・22・31ページ。
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出典(一次資料)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)
- 厚生労働省老健局計画課長・振興課長・老人保健課長通知「「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」等の一部改正について」(老計発第0331002号・老振発第0331002号・老老発第0331015号・平成18年3月31日)新旧対照表(PDF)=老企第25号の訪問介護「サービスの提供の記録」(印字13ページ)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(老企第25号)令和3年度改正の新旧対照表(PDF)
- 厚生労働省 法令等データベース「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成12年3月17日 老企第43号)=サービスの提供の記録(基準省令第8条第2項)の本文
- 厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(老企第43号)令和3年度改正の新旧対照表(PDF)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和6年7月改訂)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」別添 確認項目及び確認文書(令和6年7月改訂・PDF)
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
- 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日・令和8年4月一部改正・2026年10月26日確認)
- 厚生労働省老健局「介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン」(令和7年11月/介護保険最新情報 Vol.1436 令和7年11月7日の別添・PDF・2026年11月4日確認)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、当社の損害賠償責任は、故意・重過失を除き購入代金の額を上限とします。