身体拘束適正化研修、年2回をどう組み分ける?1回目と2回目で内容を変える進め方
更新日:2026-08-10・約5分で読めます
身体拘束等の適正化研修は年2回以上が義務ですが、対象となるサービス類型は限られており、また2回目が1回目の焼き直しになりがちという実務上の悩みもあります。義務の範囲を明確にしたうえで、1回目=基礎、2回目=事例検討と記録レビューという組み分けの構成例をご案内します。組み分け自体は法令の定めではなく、当社の構成提案です。
まず結論:研修の義務があるのは施設系・居住系・短期入所系・多機能系だけ
身体拘束等の適正化について、委員会(3か月に1回以上)・指針の整備・研修(年2回以上+新規採用時に必ず実施)が義務なのは、施設系・居住系・短期入所系・多機能系です。短期入所系・多機能系の委員会・研修義務は令和6年度改定で加わりました。
一方、訪問系・通所系・居宅介護支援・福祉用具貸与は、令和6年度改定で「原則禁止+記録」のみが義務となっており、委員会・指針・研修の義務はありません(拘束を行った場合の3要件の記録がないと指導対象にはなります)。これらの類型に研修実施の法的義務があるわけではありませんが、記録の質を上げる目的で研修の形をとって共有すること自体は、当社としては価値があると考えています。
年2回、同じ内容の繰り返しになっていませんか
研修義務のある類型でよく聞かれる悩みが、「年2回のうち2回目が1回目とほぼ同じ内容になってしまう」というものです。同じレジュメを2回読み上げるだけでは、2回目の出席者にとって新しい気づきが得られにくく、記録の質の向上にもつながりにくくなります。
組み分けの構成例(本キットでの提案):1回目は基礎、2回目は事例検討と記録レビュー
以下は当社からの構成提案であり、法令が定めた進め方ではありません。事業所の状況に合わせて自由に組み替えてください。
- 1回目=基礎:3要件(切迫性・非代替性・一時性)と原則禁止の考え方を、本サイトの研修キットのレジュメをそのまま読み上げる想定で確認する回。
- 2回目=事例検討と自事業所の記録レビュー:実際に拘束を行った際に書いた記録を持ち寄り、「後から3要件を説明できる書き方になっているか」を職員どうしで点検する回。拘束を行った実績がない期間は、想定事例をもとに記録の書き方を練習する回としても代用できます。
減算を避けるために——「実施していたか」でなく「記録できていたか」
身体拘束廃止未実施減算は、施設系・居住系が所定単位数の10%/日(平成30年度改定で5単位/日から引き上げられたもので、令和6年度の引き上げではありません)、短期入所系・多機能系が所定単位数の1%(令和6年度新設・1年間の経過措置を経て令和7年4月から適用)です。3要件の詳しい定義と記録の残し方は「身体拘束の3要件と記録の残し方」で解説していますので、ここでは年2回の研修をどちらの回で何を扱うかに絞ってご案内します。
運営指導で確認されるのは「拘束をしなかったか」ではなく「委員会・指針・研修・記録という措置を講じ、かつ記録として説明できるか」です。1回目の基礎研修だけでは自事業所の記録が3要件に照らして妥当かどうかまでは点検できないため、2回目に記録レビューを組み込む構成をご提案しています。
2回目の研修で使う「自事業所の記録」の集め方
2回目の事例検討・記録レビューでは、実際にやむを得ず身体拘束を行った際の記録(3要件の記録)を教材にします。個人が特定されないよう、利用者名を伏せたコピーを使う、当日回収して研修後に速やかに処分するなど、個人情報の取り扱いに配慮した準備をしておくと、安心して記録レビューに集中できます。
実施記録の残し方——1回目・2回目を別々に記録する
年2回の研修は、1回にまとめず、それぞれ別の実施記録として残します。1回目(基礎)と2回目(事例検討・記録レビュー)で扱った内容が異なるため、実施記録にも「今回は基礎か、事例検討か」がわかるように記載しておくと、運営指導で年2回の実施を説明しやすくなります。出席簿も回ごとに分けて保管してください。
拘束を行った実績がない期間の2回目の進め方
身体拘束を行った実績がない期間が続いている事業所では、2回目に持ち寄る自事業所の記録がありません。その場合は、想定事例(架空の場面)を用意し、「この場面で3要件の記録をどう書くか」を職員どうしで練習する回として2回目を構成できます。実績がないことは望ましい状態であり、研修の質を下げる理由にはなりません。想定事例を作るときは、特定の利用者を連想させない、一般化した場面設定にしてください。
対象外の類型(訪問系・通所系等)が研修の形をとる場合の位置づけ
訪問系・通所系・居宅介護支援・福祉用具貸与には研修そのものの法的義務はありませんが、3要件の記録の質を上げる目的で、任意に研修の機会を設ける事業所もあります。この場合、年2回という回数にとらわれる必要はなく、記録の書き方に不安がある職員を対象に、必要なタイミングで実施する形でも構いません。実施する場合も、義務ではなく任意で行っている旨を実施記録に書き添えておくと、対象類型を混同せずに管理できます。
無料で使える身体拘束適正化研修キット
本記事でご案内した年2回の組み分け(1回目=基礎、2回目=事例検討と記録レビュー)は、本サイトの「身体的拘束等の適正化研修キット」にある約30分のレジュメと確認テスト10問を1回目に、実施記録様式を2回目の記録レビューにそのまま使う前提で組んでいます。登録不要・無料で、入力内容はお使いのブラウザ内にのみ保存され、外部には送信されません(zero-retention)。
法令・介護報酬は改定されます(本記事は2026年7月時点)。最終的な適用は指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へご確認ください。
出典(一次資料)
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