高齢者虐待防止研修、60分の進め方|レジュメ・確認テスト・記録をひとつの研修時間に組む
更新日:2026-07-26・約5分で読めます
「虐待防止研修は年に1回(施設・居住系は年2回)以上、新規採用時にも実施」という義務は決まっていても、当日どう時間配分し、何をどの順で進めるかは事業所ごとに悩みどころです。本記事では、レジュメの読み上げから確認テスト、記録の記入までを60分にまとめる、本キットでの構成例をご案内します。時間配分・進行順は法令の定めではなく、あくまで当社の構成提案です。
まず結論:義務の部分と、当日の構成の部分は別
高齢者虐待防止の研修は、施設・居住系(介護老人福祉施設・老健・介護医療院・認知症グループホーム等)で年2回以上、それ以外(訪問系・通所系・短期入所系・多機能系・居宅介護支援・介護予防支援等)で年1回以上の実施が義務です。どのサービス類型でも、新規に採用した職員には必ず研修を実施します。措置を講じていない場合、高齢者虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%・令和6年4月新設)の対象になります。対象は居宅療養管理指導・特定福祉用具販売を除くほぼ全サービスで、福祉用具貸与には経過措置が設けられています(減算の詳細は「高齢者虐待防止措置未実施減算はいくら?」で解説しています)。
ここまでが一次資料の裏取り範囲での義務の内容です。一方、これから案内する「60分」という時間の長さや、どの順番で何をするかという進め方は、法令が定めたものではありません。本キットでの構成例としてご案内するものであり、事業所の状況に合わせて自由に組み替えていただいて構いません。
60分の構成例(本キットでの提案)
本サイトの「高齢者虐待防止研修キット」のレジュメ・確認テストをそのまま使う想定で、次のように60分に組むことができます。研修を外部講師でなく職員が読み上げ形式で実施できる点は「介護の虐待防止研修は何をすればいい?」で解説済みです。ここでは、その研修を60分にどう組むかに絞ってご案内します。
- 導入(5分):今日この研修をなぜ毎年行うのかを一言伝え、出席の確認を行う。
- レジュメの読み上げ(30分):キットのレジュメをそのまま読み上げる想定。虐待の5類型・背景・通報義務などを職員全員で確認する時間。
- 確認テスト(10分):キットの確認テスト10問(解答・解説つき)に取り組んでもらう時間。
- ふりかえり・質疑(10分):不適切ケアのグレーゾーンについて一言ずつ発言してもらう、気になったことを共有してもらうなどの時間。
- 記録の記入(5分):出席簿への署名と、実施記録の記入をその場で終える時間(次のセクションで詳しく説明します)。
記録は研修時間内に完成させる(あとで書かない段取り)
研修は実施しただけでは終わりません。運営指導では「実施した記録」の有無が確認されます。記録に何を書くかの詳しい書き方は「介護の研修 実施記録の書き方」で解説していますので、ここでは当日の段取りだけを案内します。
出席簿は研修の最初に配って回し、その場で参加者に署名してもらいます。実施記録の欄は、終了前の5分を使ってその場で埋めてしまい、担当者が後日まとめて書く運用にしないことがポイントです。当日欠席した職員には、フォローする研修の日程をその場で決め、記録に書き添えておくと、あとで抜け漏れに気づいて慌てることがありません。
人数や時間の都合に合わせた調整例
60分をまとめて確保するのが難しい事業所もあります。以下は当社からの構成提案であり、状況に応じて自由に調整してください。
- 時間が取れない場合:ふりかえり・質疑を5分に短縮し、レジュメの読み上げと確認テストを優先する。
- 人数が多い場合:確認テストを個別記入方式にし、ふりかえりは代表者数名の発言のみで進行する。
- 新規採用者向けに単独で実施する場合:導入を省略し、レジュメ読み上げ→確認テスト→記録の記入の3ステップに絞る。
対象者はどの類型でも「全職員」——一部の職員だけに絞る必要はない
虐待防止研修の対象者は、施設・居住系はもちろん、通所系・訪問系・短期入所系・多機能系などいずれの類型でも「全職員」です。認知症介護基礎研修のように、資格の有無で対象者が分かれることはありません。そのため、60分の研修は原則として全職員が一律に参加する前提で組んで差し支えなく、シフトの都合で複数回に分けて実施する場合も、回によって内容を変える必要はありません。
つまずきどころ:新規採用者向けと定期研修を同じ回数にカウントしない
定期研修(施設・居住系は年2回以上、その他は年1回以上)と新規採用時研修は、どちらも義務の対象ですが、実施回数のカウント上は別物です。年度途中で入った職員に新規採用時研修を実施した回を、そのまま定期研修の回数としてもカウントしてしまうと、年度末になって定期研修の回数が実は足りていなかった、という不備につながりかねません。
60分の構成そのものは同じものを使い回して問題ありませんが、実施記録には「定期研修」か「新規採用時研修」かを明記し、それぞれ別の実施として記録・カウントしておくことをおすすめします。特に、年度の途中で複数人を採用した事業所では、採用のたびに個別に60分を確保するのが難しいこともあります。その場合は、複数の新規採用者をまとめて1回の新規採用時研修として実施し、それぞれの入職日と受講日を記録に明記しておけば、個々の職員について「新規採用時に実施した」ことを説明できます。
無料で使えるレジュメ・確認テスト・記録様式
本記事の60分の構成は、本サイトの「高齢者虐待防止研修キット」にある約30分のレジュメと確認テスト10問をそのまま使う前提で組んでいます。実施記録様式・出席簿も同じ画面から印刷でき、登録不要・無料、入力内容はお使いのブラウザ内にのみ保存され外部には送信されません(zero-retention)。
法令・介護報酬は改定されます(本記事は2026年7月時点)。最終的な適用は指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へご確認ください。
出典(一次資料)
【免責事項】本キットは研修実施の参考資料です。法令・運営基準・介護報酬の内容は改定されることがあります。実際の運用にあたっての最終確認は、指定権者(都道府県・市区町村等の自治体)へのご確認をおすすめします。本キットの利用により生じた損害について、提供者は責任を負いかねます。